「架空」のお悩み相談会

あおぞらの輪
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【活動報告】(架空の)お悩み相談会

 ↑の名前だけでは,一体どんな活動をしたのかわかりにくいと思う.(架空の)お悩み相談会.それぞれの悩みについてみんなで考えるのだが,その悩み事は本当でもいいし,架空のものでもいい.本当と架空を織り交ぜてもいい.ある参加者の方の提案をもとに,挑戦を試みた企画であった.

 1人20分という区切られた時間のなかで,それぞれの悩み事について対話を行う.興味深かったのは,出されたテーマによって,場に落とされる言葉の質?が異なっていたこと.

 例えば,(↑の写真にも載せたが)「友だちがいないんです.」「いい人で在りたいけど,いい人を辞めたい.」「続かないんです….」は,どちらかといえば,それぞれの本音に近い悩み事であった.参加者が,悩み事を話した本人に向けて投げかける言葉が多く,悩み事についての質問や解決策,関連するエピソードなどが飛び交った.実際のお悩み相談と近い様相を呈していたように思う.
 悩み事の解決に向けてあーだこーだと質問や意見を交わし合うと,どうしても「解決を急ぐ」ような磁場が発生しているように思われ,「対話」を楽しむというよりも,いかに悩み事を発してくれたひとのもやもやを解消していくか?に焦点が当てられているように感じた.

 また,「製薬会社勤務です.医療の進歩や新薬の台頭で売り上げがダウンしてしまう.でもみんなに健康であってほしい.どのように折合いを付けたらよいか?」の悩みは,架空の設定を混ぜながらも,普遍的な内容についての考えを求めている.良質な製品やサービスを目指している会社で働いているひとであれば誰しも悩んでいるような,(社会全体にも関係あるような)内容だった.こちらは,いつもの「哲学対話」に近く,悩み事を発した参加者に向けてというよりかは,それぞれが問いに向き合って自分の考えを落としているように感じた.
 ちなみにこのテーマの対話では,「どうやったら収益を上げられるか?」に話の中心が変わり,製薬会社の経営会議(一部悪巧み)をしばし楽しみながら,「改めて私が悩んでいるのは…」と悩み事を言語化したところで時間が来てしまった.

 最後に,「初入閣が期待される政治家.将来は総理の席も夢ではない.(しかし,本妻よりも愛を交わしている愛人がいる.)愛人と別れるべきか.」は,100%架空の悩み事だった.
 そもそも今回の企画が,「お悩み相談も,直接的な内容だとし辛いから,架空や嘘の内容もありにしよう!」という意図だったのだが,100%架空にしたらしたで,新たな難しさがでてきていた.時間のほとんどが,いわゆる「創作」に使われたのである.例えば↑の設定に対して,「総理大臣の席にはどのくらい渇望しているのか?」「本妻と愛人,どちらを愛しているのか?」「党の人たちはどのくらい知っているのか?」「愛人はなんの仕事をしているのか?」など,さらに悩み事の解像度を上げていくような作業が行われた.
 要は,愛人(愛)をとるか?総理大臣(出世)の席をとるか?の二者択一の問いだったのだが,その解決の糸口を探すために,全員で設定を考える時間が主だったように思う.

 同じ悩み事というくくりでも,本当に「お悩み相談」っぽいものから,いつもの「哲学対話」に似たもの,「創作活動」を楽しむものなど,多種多様過ぎていた.そして,架空の悩み事を考えたり,対話したりすることが意外と難しく,しかし自分の中では,この「架空」や「嘘」,「創作」によって対話の活動がよりマイルドかつ可能性にあふれたものになるんではないか…という実感を得られたのはとても大きかった.

 また,そもそも悩み事を打ち明けやすくするために設定した「架空」お悩み相談という題目だったのだが,実際はあまり「架空」に頼るひとは少なかった.(あえて「架空」の設定を創ってくれたひとはいた.)それはもしかすると,「架空」を使わずとも,本心に近い悩み事を打ち明けても馬鹿にされず,真摯に向き合ってくれるだろう…という参加者に対する信頼感が根底にあるのではないか…と思った.たとえ家族や同僚に打ち明けるのが難しいような悩み事でも,このひとたちならちゃんと聴いてかくれるんじゃないか…という信頼感は,もしかするとうちの会の強みじゃないかと心の底がじわりと暖かくなる時間だった.

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