世界のコードリーダー市場成長率:2031年までに8.1%に達する見込み

星野七海
作成日:
QYResearch株式会社(東京都中央区)は、「コードリーダー―グローバル市場シェアとランキング、全体の売上と需要予測、2025~2031」に関する最新レポートを発行しました。

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コードリーダー世界市場は2031年に6170百万米ドルに成長見込み
コードリーダーの世界市場規模は2025年から2031年にかけて年平均成長率(CAGR)8.1%で拡大し、2031年には6170百万米ドル規模に達する見込みです。市場は2024年に3613百万米ドルと推定され、2025年には3875百万米ドルに達すると予測されています。




本研究報告では、「コードリーダー」(以下、本稿において「コードリーダー」と称す)を対象に、その定義・技術特性・適用領域・市場ポジショニングを整理し、続いて業界の主要な発展特徴・トレンドおよび主要企業の動向を分析する。企業のCEO、マーケティング責任者、投資家を念頭に、産業研究・市場開拓の観点から俯瞰的かつ戦略的に整理した。


コードリーダーの定義と技術・市場位置づけ


コードリーダーとは、製造現場・物流センター・流通店舗などにおいて、バーコード(1次元コード)や2次元コード(QRコード、データマトリックス、ドットピンマーク〈DPM〉等)を撮像/読み取り、そこに付与された情報を自動的に取得・デコードし、上位システムへ転送する装置またはシステムである。従来のレーザー式スキャナーに加え、画像センサー(CCD/CMOS)+照明・レンズ・デコードソフトウェアを組み合わせたイメージベース読み取り方式が主流となっており、さらに産業用途においては可変角度読み取り、大深度視野、乱雑配列物の読み取り、メタル/黒プラスチック上のDPMマーク読み取りなど高難易度仕様への対応が求められている。たとえば、KEYENCEの「SR-5000シリーズ」では、物流用途向けに「広視野・長深度視野・複数面同時読み取り」を実現している。
コードリーダーの適用領域は、製造工程でのトレーサビリティ管理、部品/完成品の識別、物流倉庫における仕分け・入出荷管理、小売店舗/セルフレジにおける商品読み取り、さらには医療/ヘルスケア分野における患者バーコード・医薬品管理など多岐にわたる。市場ポジショニングとしては、単に「バーコードを読む装置」から「デジタルトランスフォーメーション(DX)を支える自動データキャプチャ基盤」としての役割へと進化しており、リアルタイムデータ取得・現場可視化・AI連携などが付加価値の鍵となっている。
例えば、グローバルにおいて2次元コード読取機市場が2024年時点で約80億ドル規模と推計され、2034年に約203億ドルへ成長するとの見通しもある。
このように、コードリーダーは、物流・製造・流通といった従来の“機械の目・手作業の代替”という位置づけから、次世代においては「スマート現場(スマートファクトリー・スマート物流)を実現するデジタルインフラ」であり、サプライチェーンを含むリアルワールドのデータ化を担う重要な技術要素である。


業界の主要発展特徴とトレンド


コードリーダー産業における発展を捉えるべき特徴およびトレンドとして、以下の観点が挙げられる。


まず、成長基調が明確である。複数の調査によれば、バーコード/コードリーダー市場全体が年率数%~1桁台後半のCAGRで拡大しており、例えばグローバルバーコードリーダー市場は2021年から2025年にかけて約6.5%で成長、2025年から2033年までで1,348億ドル規模に達するとの予測も存在する。さらに、2次元コード/画像ベース読取を対象とする市場ではCAGR 9%超の成長予想もあり、特にアジア・太平洋地域が成長ドライバーとして注目されている。
この成長を支える背景として、製造業・物流業の自動化・省力化要求、 eコマース・オムニチャネル化による物流需要の拡大、トレーサビリティ強化・品質管理/不良削減といった現場ニーズの高まりが挙げられる。特に、複雑化する流通環境(種類・形状・大きさの異なる荷物の混在、配送スピード要求増大)において、「乱流状態」下でも高精度にコードを読み取る機能が、現場効率向上の鍵となっている。たとえば、ある技術ブログでは「2025年には読み取りソフトウェア側も複数種類のバーコードを1台で解析可能に」「AIを活用した画像認識による蛍光バーコード等の読み取りも進む」と指摘されている。
また、製品技術としては「AI/画像処理アルゴリズム搭載」「長距離・広視野・深度優位」「環境適応性(メタル反射・黒背景・線傷・印字劣化)」「ワイヤレス接続/IoT連携」「現場導入の容易化(自動調整/キャリブレーション不要化)」などが進展軸である。実際、KEYENCEの「SR-Xシリーズ」では、AI搭載・自動焦点・自動照明選択を実装しており、従来機比で設置・運用負荷を低減している。
市場構造としては参入企業が多く断片的(フラグメンテッド)であるが、技術力・ブランド力・ソリューション提供力を持つ上位企業(例:Datalogic、KEYENCE、Honeywell、Zebra Technologiesなど)がプレイヤーとして目立つ。Datalogic自身が「バーコードリーダー/自動データキャプチャ及びファクトリー・オートメーション分野のグローバル・テクノロジーリーダー」であると表明しており、50年以上の歴史と2,751名の従業員を擁する。
一方で、統合化・サービス化の動きも顕著である。単体ハードウェアとしてのコードリーダーに加えて、それを軸とするソリューション、クラウド連携、ソフトウェア/AI分析プラットフォーム、現場からERP/MESまでのデータ連携という“読み取り+データ活用”の流れが強まっている。


地理的な観点では、アジア・太平洋地域が特に成長余地が大きい。調査では、2次元コード読取市場においてアジア・太平洋地域では2024年時点で約35 億ドルとなっており、2034年には約88 億ドルへ成長する見込みというデータがある。また、先進国市場においても、製造現場・物流センターの自動化深化、ブラックボックス化解消・トレーサビリティ強化といったDXの一環として、コードリーダー刷新投資が続いている。
なお、リスク要因としては、既存設備の読み取り機の長寿命化・リプレース周期の長さ、インテグレーションコスト、旧設備との互換性制約、さらにモバイルカメラ・スマホ読取代替の影響(特に小売POS用途)などが挙げられる。


主要企業動向


ここでは、主要論点として上記適用分野・技術トレンドと接続する形で、特に言及対象企業の動向を整理する。


まず、KEYENCE(日本)である。企業概要において、「コードリーダー・バーコードリーダー」が同社の製品ラインナップとして明確に位置づけられており、同社の説明によれば「コードリーダー(1D/2D)・バーコードリーダー」を含む製品群が、製造現場・物流現場におけるトレーサビリティ・可視化・省人化を支えている。 さらに、「SR-Xシリーズ」ではAIチップ搭載・設置容易化・高難度コード読み取りを特徴とし、同社が“読み取り精度×設置省力化”を技術差別化軸として進めていることが確認できる。
次に、Datalogic(イタリア)である。同社は「バーコードリーダー/モバイルコンピュータ/RFID/センサ/ビジョン・レーザーマーキング」の自動データキャプチャ分野で50年以上の実績を有し、特にバーコードリーダー分野ではスーパーマーケット・空港・物流・工場・医療といった幅広い適用先を抱えている。 同社の2024年時点での売上が約4.938億ユーロ、従業員2,751名という構成も公表されている。
また、流通向け/セルフレジ向けソリューションにも注力しており、2024年12月発表のプレスリリースでは「NRF 2025 において小売/物流向けスマート・セキュア・サステナブルなソリューションを展示する」として、AI搭載読み取り装置等を訴求している。
さらに、上記以外に、例えばCognex Corporation(米国・マシンビジョン系)、Honeywell、Zebra Technologiesなども、コード/バーコード読取装置市場におけるグローバルプレイヤーとして挙げられており、市場報告では上位企業ランキングに含まれている。
これら企業を通じて観察される傾向として、(1)高度化読み取り(微細コード、傷マーク、メタル/黒背景適用)への対応、(2)物流・Eコマース用途向けハイスループット・多面読み取り型装置の普及、(3)ソフトウェア/AI連携・クラウドデータ活用型ソリューション展開、(4)グローバル展開・新興国物流インフラ建設に伴う需要増、などが共通項として挙げられる。
一方、競争環境としては低価格機種の出現、新興国ローカルベンダーの参入、そしてスマートフォン/モバイル端末による読み取り代替という代替リスクも意識されている。


――したがって、主要企業はハードウエア性能競争だけでなく、トータルソリューション化、サービス年契約、分析・可視化付加価値提案という“読み取り+データ活用”の付加価値競争フェーズに移行していると整理できる。


以上を通じて、コードリーダー産業は、「読み取り装置」という範囲を超えて、製造・物流・流通の現場データ化・DX化を支える重要なインフラ技術プラットフォームへと変貌しつつあるという構図が浮かび上がる。


――本稿では行動提言を含めないが、関係企業・投資家・マーケティング部門においては、技術・用途・地域・企業戦略を複合的に観察することが有用である。


【製品タイプ別】Handheld Type、 Fixed Type
各製品タイプごとに売上高、販売数量、市場シェア、CAGRを分析し、今後の成長性や注目すべき製品領域を明示します。

【用途別】Retail and Wholesale、 Logistics and Warehousing、 Industrial Manufacturing、 Healthcare、 Others
用途別に需要構造、売上規模、成長率の変化を解析。各業界のトレンドや新規用途の拡大可能性を示し、マーケティング戦略や製品開発に活用できる情報を提供します。

【主要企業・競争環境】Datalogic、 Zebra Technologies、 Cognex Corporation、 Honeywell、 Keyence、 Newlan、 NCR、 Denso Wave、 OPTOELECTRONICS CO.,LTD.、 SICK、 Leuze electronic、 Mindeo、 HIKROBOT、 OMRON、 Pepperl+Fuchs、 Zebex、 Zhejiang Huarui Technology Co., Ltd、 Sunlux Iot Technology
主要企業の売上高、市場シェア、製品ポートフォリオ、戦略、提携・買収(M&A)動向を分析。コードリーダー市場での競争環境や業界構造を可視化し、戦略的意思決定に必要な洞察を提供します。

目次
第1章: コードリーダー市場の製品定義と分類、世界市場規模の推移、売上・販売量・価格の総合分析を行う。また、最新の市場動向、需要ドライバー、成長機会、リスク要因、業界の制約条件についても解説する。(2020~2031)
第2章: コードリーダー業界における主要メーカーの競合状況を分析し、トップ5社・トップ10社の売上ランキング、製造拠点および本社所在地、製品ライン、販売量、市場シェア、価格動向、開発戦略、合併・買収情報などを詳しく紹介する。(2020~2025)
第3章: 製品別にコードリーダー市場を詳細分析し、世界の売上、売上市場シェア、販売量、販売量市場シェア、平均価格を包括的に提示する。(2020~2031)
第4章: 用途別にコードリーダー市場を分類し、世界市場における売上、売上市場シェア、販売量、販売量市場シェア、価格を比較分析する。(2020~2031)
第5章: 地域別のコードリーダー市場を分析し、売上、販売量、価格を提示。主要地域の市場規模、成長ポテンシャル、発展見通しを詳述する。(2020~2031)
第6章: 国別のコードリーダー市場動向を分析し、売上、販売量、成長率を解説。製品別・用途別の主要データを国別に比較して紹介する。(2020~2031)
第7章: コードリーダー市場の主要企業情報を提供し、会社概要、事業内容、販売量、売上高、価格戦略、粗利益率、製品説明、最新の研究開発動向を解説する。(2020~2025)
第8章: コードリーダー業界の産業チェーン全体(上流・中流・下流)を分析し、原材料、製造プロセス、販売モデル、流通チャネルについて詳しく解説する。
第9章: 本調査の主要な分析結果と市場に関する結論をまとめる。
第10章: 付録(調査手法、データソース、用語解説)。

レポート詳細
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