世界のオルゴール市場成長率:2031年までに-2.9%に達する見込み

星野七海
作成日:
QYResearch株式会社(東京都中央区)は、「オルゴール―グローバル市場シェアとランキング、全体の売上と需要予測、2025~2031」に関する最新レポートを発行しました。

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オルゴール世界市場は2031年に15.4百万米ドルに成長見込み
オルゴールの世界市場規模は2025年から2031年にかけて年平均成長率(CAGR)-2.9%で拡大し、2031年には15.4百万米ドル規模に達する見込みです。市場は2024年に18.9百万米ドルと推定され、2025年には18.4百万米ドルに達すると予測されています。







定義および概要
「オルゴール」(日本語では一般に「メカニカル・ミュージックボックス」、あるいは「音楽箱」等と訳される)は、機械的な機構により「固定された旋律」を再生する装置を指します。具体的には、ぜんまい機構や手巻き機構または電動モーターなどを動力源とし、音筒(シリンダー)や音盤(ディスク)、あるいは金属製の梳(くし)歯を備え、これを回転または駆動することで歯を打弦(あるいは打音・振動)し、音階・旋律を奏でるという技術構成を有しています。
本装置の技術特性としては、(1)機械的な駆動・音源を用いた物理的な共鳴・打弦音の生成、(2)旋律の固定性・反復可能性、(3)外装・筐体・装飾品としての付加価値性、が挙げられます。用途領域としては、インテリア・ギフト用途、収集・コレクション用途、企業ノベルティや観光土産、さらには高付加価値ラグジュアリー市場におけるオートマタ的機能を備えた演奏機器としても展開されており、デジタル音源とは異なる「機械式音楽装置」という差別化要素を有しています。
市場定位としては、量産ギフト用途から、ハイエンド手造り工芸品用途まで幅広く、かつその中で高級ブランドや限定モデルは「工芸×音楽×機械」という複合価値を持つプレミアム領域に位置付けられています。特に機械式ならではのノスタルジー、音質・構造の見える化(例えば音筒の動きやオートマタ機構)などが差別化軸となります。
このように、オルゴール市場は「機械式音楽装置」という技術的土台を持ちつつ、ギフト・工芸品・インテリア・コレクションという複数の応用分野を横断する多面的なポジションを占めており、マーケットとしてはニッチながらも高付加価値化やブランド訴求による拡張余地を有しています。



業界の主要な発展特徴とトレンド分析
まず、技術・製造面における動向として、従来はスイス製の工芸的オルゴールが象徴的でした。例えば、スイスの高級オルゴールメーカーである Reuge SA は1865年創業で、機械式音楽箱・オートマタを専門に設計・製造しており、手工芸的技術と機械構造の融合を実現しています。 一方、量産・汎用機構領域では、たとえば日本の Nidec Sankyo Corporation(旧 Sankyo Seiki Manufacturing Co., Ltd.)がオルゴール機構の大量生産化を先導し、かつて世界市場の多数を占めていたという歴史があります。 また、中国の Ningbo Yunsheng Musical Movement Manufacturing Co., Ltd. が音楽機構およびオルゴール部品のグローバル供給で優位に立っており、同社は世界のミュージカル・ムーブメント(音楽機構)市場の50%を超えるシェアを主張しています。 これらから、製造技術が「手工芸(高級)/量産構造(標準品)/部品供給(グローバル)という三層構造」を形成しており、各レイヤーがそれぞれの成長性・課題を抱えていることが特徴です。
次に、市場規模・成長トレンドをみると、グローバルにおけるオルゴール市場(音楽箱市場)は、例えば「2024年時点で約USD 22.85 百万(約2,285万ドル)とし、2025年にUSD 23.1 百万、2034年にUSD 25.46 百万へと、期間2025-2034年でCAGR約1.09%」という予測が出ています。 また、他の報告では「2024年にUSD 1.29 億(12.9 百万ドル)規模、2033年にはUSD 2.04 億(20.4 百万ドル)へ、CAGR約5.2%」という数字も提示されており、調査機関・定義により数値にばらつきがあります。 その一方で、ネガティブな成長予測を示す報告として、「2024年から2030年にかけてCAGR-2.9%」という縮小傾向を提示するデータもあります。このように、市場全体としては「成長鈍化」「もしくは成熟化・停滞」というステージにあると判断できます。
地域別では、アジア・パシフィック市場が成長率面で比較的優位であり、2024年時点で約USD 5.20 百万と推定され、2024-2031年でCAGR約3.1%とされる分析があります。日本に限っても、2024年に約USD 0.72 百万と見積もられ、同期間CAGR約1.6%と比較的低成長という予測が出ています。 このことから、市場は地域・用途によって構造化されており、成熟国市場(欧州・日本等)は飽和傾向にあり、アジア新興市場・ギフト用途・オンライン販売チャネルでの展開が相対的に成長余地があると捉えられます。
さらに、用途・製品仕様トレンドとしては、手工芸品・カスタマイズ/ギフト用途の比率が高まっており、例えば「手造り工芸品で40%、個別ギフト用途35%、エコ/持続可能素材25%」という報告もあります。 また、デジタル融合・ハイブリッドモデル(例:ブルートゥース付、電動+機械併用)やオンライン直販チャネルの構築などが新たな成長軸として注目されており、同報告ではオンライン販売が既に42%を占めるという数字も提示されています。 このように、オルゴール業界では「伝統的機械式技術 × 新チャネル/カスタマイズ/素材革新」という掛け合わせが重要なキーワードになっています。
加えて、業界の競争・プレーヤー構造をみると、Reuge、Sankyo、Yunsheng の3社が主要な位置を占めており、ある報告では「世界市場において80%のシェアをこの3社が分け合っている」との分析もあります。このことから、ブランドプレミアム・製品設計力・機構設計力・グローバル流通網といった経営資源が優位性を決定づける構造となっていると考えられます。
最後に、ギフト・コレクション用途としてのマーケットトレンドを整理すると、消費者の「ノスタルジー」「ハンドクラフト/ストーリー性」「カスタマイズ性/パーソナライズ化」への関心が高まっており、また e-コマース/越境ECによる購入機会の拡大、さらにインテリア・ライフスタイル領域とコラボした展開(例:オートマタ機構+デザイン家具としての併用)などが進んでいます。それに対し、量産・汎用モデル(低価格帯)では価格競争激化・代替音源技術(デジタル音楽再生デバイス)との競争という構図も存在しており、特に新興国市場やノベルティ用途ではコスト・調達・物流チャネルが課題となり得ます。



主要企業動向
まず、スイスの高級ブランド Reuge(Reuge SA)は、1865年創業という長い歴史を持ち、機械式音楽箱・オートマタの設計・製造を手掛けております。同社の特徴としては、手工芸的技術(マニファクチュール)を堅持し、高級市場向けに高精度ムーブメント・装飾木材・オートマタ機構を融合させた商品展開を行っています。量産品ではない「工芸品」としての価値を訴求しており、コレクター市場やギフト用途上位層にアプローチしています。
次に、日本の Nidec Sankyo(旧 Sankyo Seiki)は、戦後間もなく「オルゴール機構」の量産化を手掛け、かつて世界市場の90%以上を掌握したとされる時代がありました。 現在も音楽箱機構部品の設計・製造において強みを持ち、量産・カスタマイズ型モデルの流通実績を有しています。ブランド・流通網・技術蓄積の面で依然として業界プレーヤーとしての地位を維持しています。
また、中国の Ningbo Yunsheng(雲聖機械構造)は、音楽ムーブメントおよびオルゴール部品(18音~50音、プラスチック・木製ケース含む)を製造し、グローバルな部品供給チェーンの中で存在感を増しています。自社調査によれば、音楽ムーブメント市場で50%を超えるシェアを有するとの言明もあります。 このように、Yunsheng はコスト優位・量産供給面での競争力を有しており、部品サプライチェーン・OEM/ODMチャネルとしての役割を担っています。
これら各社の動向を総合すると、ブランド・ハイエンド領域(Reuge)/量産・カスタマイズ領域(Sankyo)/部品・供給/コスト競争領域(Yunsheng)という構図が業界内に明確に構築されており、それぞれのプレーヤーは製品技術・ブランド価値・流通チャネル・コスト構造という観点で異なる戦略的ポジションをとっています。





【製品タイプ別】18 Note、 30 Note、 Others
各製品タイプごとに売上高、販売数量、市場シェア、CAGRを分析し、今後の成長性や注目すべき製品領域を明示します。

【用途別】Online Sales、 Specialty Store、 Supermarket、 Others
用途別に需要構造、売上規模、成長率の変化を解析。各業界のトレンドや新規用途の拡大可能性を示し、マーケティング戦略や製品開発に活用できる情報を提供します。

【主要企業・競争環境】Reuge、 Sankyo、 YUNSHENG
主要企業の売上高、市場シェア、製品ポートフォリオ、戦略、提携・買収(M&A)動向を分析。オルゴール市場での競争環境や業界構造を可視化し、戦略的意思決定に必要な洞察を提供します。

目次
第1章: オルゴール市場の製品定義と分類、世界市場規模の推移、売上・販売量・価格の総合分析を行う。また、最新の市場動向、需要ドライバー、成長機会、リスク要因、業界の制約条件についても解説する。(2020~2031)
第2章: オルゴール業界における主要メーカーの競合状況を分析し、トップ5社・トップ10社の売上ランキング、製造拠点および本社所在地、製品ライン、販売量、市場シェア、価格動向、開発戦略、合併・買収情報などを詳しく紹介する。(2020~2025)
第3章: 製品別にオルゴール市場を詳細分析し、世界の売上、売上市場シェア、販売量、販売量市場シェア、平均価格を包括的に提示する。(2020~2031)
第4章: 用途別にオルゴール市場を分類し、世界市場における売上、売上市場シェア、販売量、販売量市場シェア、価格を比較分析する。(2020~2031)
第5章: 地域別のオルゴール市場を分析し、売上、販売量、価格を提示。主要地域の市場規模、成長ポテンシャル、発展見通しを詳述する。(2020~2031)
第6章: 国別のオルゴール市場動向を分析し、売上、販売量、成長率を解説。製品別・用途別の主要データを国別に比較して紹介する。(2020~2031)
第7章: オルゴール市場の主要企業情報を提供し、会社概要、事業内容、販売量、売上高、価格戦略、粗利益率、製品説明、最新の研究開発動向を解説する。(2020~2025)
第8章: オルゴール業界の産業チェーン全体(上流・中流・下流)を分析し、原材料、製造プロセス、販売モデル、流通チャネルについて詳しく解説する。
第9章: 本調査の主要な分析結果と市場に関する結論をまとめる。
第10章: 付録(調査手法、データソース、用語解説)。

レポート詳細
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